キッチンの食料棚から見える暮らしの風景
キッチンの食料棚から見える暮らしの風景
家の中で、私がひそかに好きな場所があります。それはキッチンの食料棚。けれど、この棚には私の食料は入っていません。ここに並んでいるのは、同じ家に住んでいるイタリア人の女の子2人とスペイン人の女の子1人の食料です。もう一人フランス人も住んでいますが、その人はキッチンで料理をしないので棚は使っていません。私は自分の部屋に小さなキッチンがあるので、食料はそちらに置いています。
この棚を覗くと、私のものとは少し違った世界が広がっています。近所のオーガニックストアで買ったものばかりで、ドライフルーツやナッツ、グラノーラ、体に良さそうなお茶の数々。料理に使う油はギー、飲み物はカカオ100%のココア。砂糖も黒砂糖のような濃い茶色のものです。彼女たちは毎晩3人で一緒にご飯を作って食べています。食の傾向が似ているからこそ、そういう時間を共有できるのだと思います。
インドでは小麦や卵を食べない人も多く、食事には気を使います。全粒粉でも小麦を避ける人もいれば、逆に食べないと体調を崩す人もいる。結局は自分で試してみて決めるしかないのだと思います。私は全粒粉のチャパティや、窯で焼いたロティがやっぱり好きです。
私の食生活はというと、朝はフルーツとコーヒー、昼は外でフムスのサンドを食べたり、友達とプロテインを摂ったり。夜は炊いたご飯に日本から持ってきたふりかけやスープを合わせることが多いです。
棚の中身を眺めていると、その人がどんな人なのか少し見えてきます。健康に気を使ってラギー(グルテンフリーの穀物)を食べていたのに、ある日突然やめてしまったり。毎年インドに来てヨガを学び、体のことも考えているのが伝わってくるけれど、最初の頃は極端な食生活をして体調を崩す人もいました。フルーツしか食べなかったり、急に卵をやめてしまったり…。食べ物を通して「自分の体が今どういう状態なのか」を知ることの大切さを感じます。
私自身は、急にチーズの塊が食べたくなることがあります。それはタンパク質不足のサイン。かかとがカサカサになるのも合図で、ここまでくるとかなりまずい。
寒い日本にいたら毎日鍋を食べていたと思います。お餅も好きだし、残りの鍋を雑炊にしたり…
今朝はコーヒーを飲む前に急にだしが飲みたくなり、お湯にだしと醤油を入れて飲みました。そんなことも時々あります。
初めてインドに来た時は、日本食を一切持ってきていなかったので本当に辛かった記憶があります。食べて吸収されたもので体はできているから、スパイスで腸が驚いて吸収できないこともあるかもしれない。だから今は日本食を必ず持ってくるようにしています。
イタリアやスペインの人は何が恋しくなるのだろう。フランス人の友達は「クロワッサンが恋しい」と言っていました。やっぱり食べ物って、その人の暮らしや心を映すものなんだなと、棚を眺めながら思うのです。


